人気ブログランキング | 話題のタグを見る

クラシック音楽 名盤・名録音探しの旅

ヨッフムのブルックナー7番ライブ

ヨッフムのブルックナー7番ライブ_c0067901_229898.jpgブルックナー/交響曲第7番ホ長調
ヨッフム指揮/ロイヤル・ンセルトヘボウ管(1986.昭和女子大ライブ)

 先月、友人のY氏と奥多摩の入門コースといわれる高水三山(高水山740㍍、岩茸石山793㍍、惣岳山742㍍)を歩いてきました。天気は昼頃にかけて風が少し強かったですが、それ以外は絶好の山歩き日和。どの山も1000㍍未満の低山ですから「大したことはないだろう」、と思われるでしょうがそこは低いといっても山は山。昇りを1時間ほど歩くとそこそこに汗はかくし息も上がります。昼飯と小休止を入れて4時間程の行程ですがちょっと早い秋の奥多摩を楽しんできました。そのとき蒼い空を見上げたときこんなシチュエーションで聴きたい曲は、と思ったときふっと浮かんだ曲はやはりブルックナー。

 ヨッフムの最後の来日時の演奏にして最高の名演の声が高い演奏。我がブルきちの友人たち絶讃のディスクであります。しかし、私のブル嗜好は仲間たちとは少し異なっており、バントのブルを最高というか理想的な演奏だと思っているものですから、この演奏にはすっと演奏に入っていけないのが正直な思いなのです。バントの演奏はブルに限らず演奏の基本は無駄なものをそぎ落とし、フォルムが凛として、リズムは生き生きと弾む、というのが演奏の要諦となっています。
 ではヨッフムは、というとバントとは方向がかなり違います。バントとは対局にあるような演奏だといえばよいでしょうか。因みに演奏時間を比較すると次のとおり。
(ついでにシュたーっかぺれ・ドレスデンの演奏のものも並べてみました。)
    1楽章 2楽章  3楽章  4楽章
バント(’99.ベルリンフィル・ライブ)     21:06  21:44  10:33  13:14
ヨッフム(’86..昭和女子大ライブ) 22:59 28:03 11:28 14:55
(’77シュターツカペレドレスデン) 21:05  25:34  10:02  12:25

 なんといっても2楽章のテンポ、この遅さは特筆ものでしょう。コンセルトへボウのシルクの様な暖かみがある美音は生かしながら、色彩でいうならオフホワイトとでもいうような色合いの音色でたっぷりと、しかし決して厚ぼったくならない、これはこれで素晴らしい演奏だと思います。でも遅いですね。バントのアダージョは磨かれた美音で光沢のあるシルクの輝きをもった演奏とでもいうのでしょうか。シルクと言ってもヨッフムのそれは木綿に近いと言ったらたとえが良くないかな。逆になりましたが1楽章も淡々としていながら決して緩慢にならない、そして所謂、ブルックナーのリズム、ゼクエンツ、ブルックナー・ユニゾンと「お約束」からはずれることなく、自然に「ごく自然」に演奏されていてほとんど作為を感じない演奏だと思います。指揮者によっては計算というか、あざとさが見えてしまう演奏も時々ありますよね。
 後半の2つ楽章は私としては友人たちが褒めるほどよいとは思われませんですね。うまく表現できないのですか「纏まり」にかけるような気がします。これは元々曲のもつ特質-1,2楽章に比べると曲の大きさがちがいますからね。
全体としてブルック-なの演奏に大事だと思われるふっくらとした感じと金管が総奏しても決してうるさくならない、という二つの要素はさすがにヨッフムです。
因みにヨッフムの正規録音でシュターツカぺレ・ドレスデン(1977録音)の演奏とはまた違うテイストです。オケが異なるのですから当たり前と言えば当たり前、しかし、全体の解釈のコンセプトは変えていないのでしょうがドレスデンの演奏はやや早めの演奏で録音の性格なのか、ややざらついた音調で仕上げている感じがします。しかし、ブルックナーの曲の性格をいうときの慣用句である「素朴・木訥な」がぴたりはまるような気がします。晩年に枯れたヨッフム、バントは死ぬまでバントであったのとは違う演奏家でしたが晩年のモーツアルトも良かったことを次いでに一言。
by classical-clatter | 2006-11-02 22:09
<< ラトル・バーミンガムの「復活」 生誕250年の恩恵? >>



クラッシック音楽やその他道楽の体験帳

by classical-clatter
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
カテゴリ
以前の記事
お気に入りブログ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧