ブルックナー/交響曲第8番
ブルッナー/交響曲第8番ハ短調(アルテノバ82876628562)
D.R.デイヴィス/リンツ・ブルックナー管 D.R.デイヴィスとリンツ・ブルックナー管弦楽団の全曲ライヴ録音シリーズの第2弾。1889/90年ノバーク版第2稿を使用とのこと。見通しのいい明快な解釈でライブとしては聞きやすい好録音と聞きました。 この組み合わせによる前作は、第4番[8287660488]で、やはり”1874年初稿ノヴァーク版”を使用しており、やはり聞きやすい演奏でした。ブルックナーの演奏と楽譜の関係は切っても切れないのですが、素人の私などがこれを言い始めても仕方ありませんから「聞いたまま」を紹介したいと思います。 楽譜が違うので演奏時間がそれぞれ異なるのは当然なのですが、私がよく聞く主な8番の演奏の時間の比較をあげてみます。 1 2 3 4 セル/クリーブランド響 14'31" 16'14" 29'04" 22'04 (ノバーク) 朝比奈/大フィル(1994録) 15'46 16'22" 28'57" 23'43" (ハース) インバル/フランクフルト放送響 14'01" 13'26 26'47" 21'09(初稿) デイヴィス/リンツ・ブルックナー管 15'00" 13'20" 25'55" 25'47"(ノバーク2稿) 4っの演奏を聴いてみて今回のデイヴィス版に聴ける大きな特徴はなんと言っても第2楽章のスケルツォでしょう。私にはこのデイヴィスの演奏いささか早すぎる演奏に聞こえました。それと管の扱いが非常に軽やか。それも、「軽やか」の限度を超えてブルックナーとしてはいささか軽すぎるかもしれません。インバルの演奏も時間的には似通っていますが演奏スタイルは全く異なっており、演奏時間以上にゆったりとした感じがあり、ブルックナー特有の重厚さは十分表現されています。私がブルックナーの演奏に重厚さと共にややゆったり目の演奏速度を求めていると言うことなのかもしれません。しかし、快速調の演奏は元来好きな方でセルの演奏などその好みに合っている演奏の最たるものかもしれません。ただし、いわゆる正調ブルックナーとは少し違う語り口を持っているような気がします。そして、このデイヴィス版は、宇宙の鳴動を思わす壮大なスケールで、とかアルプスのお花畑を逍遙しているかのごとく、といったイメージとは少し異なっているように思われます。 また、ヴァントの演奏(4つの演奏:ベルリン1、北ドイツ2、ケルン1)における前打音の徹底した処理も感じられずり、前打音はそれほど意識しないで演奏されているようにも感じられました。それとフィナーレがややあっけないという感じもします。これも他の稿、他の演奏と比べてしまうからなのでしょうね。このオーケストラは前回、クルト・アイヒホルンの指揮で全曲録音一歩手前まで録音したことがあります。今回は版は古いものを使いながらオケの音色は現代的な音色を響かせているようです。
by classical-clatter
| 2005-06-05 22:30
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